[ウルトラマンオメガ]週刊アニメ考察アーカイブ

§ウルトラマンシリーズの原点も問い直す意欲作§
§社会派テーマに、BL成分も多め§



「佐倉ジェンダー研究所web令和本館( https://note.com/tomorine3908_nt )」のほうで、原則として毎週リリースしている記事「週刊アニメ考察」シリーズ( https://note.com/tomorine3908_nt/m/m579b52eebb18 )から、取り上げたアニメ作品が放送終了など一段落した時点で、作品ごとに、此処でまとめ・再構成していきます。

当記事では、2025年夏クールから放送・配信された、『ウルトラマンオメガ』の分を集めました。


※「ウルトラマンオメガ」公式サイト
 → https://m-78.jp/videoworks/ultraman-omega/


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「ウルトラマンオメガ」
第1話:宇宙人がやってきた
そして始まりました、今年度のウルトラマン、その名も「オメガ」。
本作は「今まで怪獣が出現したことがなかった地球」が舞台とのこと。そがゆえか、いわゆる科学特捜隊のような怪獣防衛チームも作中には存在しないようです。
しこうして、本作の主人公チームは久々に完全な民間人。
むろん怪獣防衛チームを出したとしても物語が悪い意味で「男臭く」ならないように近年ではなっていますが、ソコを経由して再び戻ってきた「主人公チーム完全に民間人」設定。
そのもとで、どんなストーリーがはたして展開いくのか。それが楽しみに思える第1話だったと、まずは言えるでしょう。
ひとつだけ厳しいことを言っておくと、避難所で泣いている子どもを放っておけなくなったホシミコウセイが行動を起こした際のセリフが、この子の「お母さん」を探すものだったのは、配慮不足です。
実際に現れたのが結果的に母親ではありましたが、あの時点ではあの子の保護者がどんな人物かはコウセイは知らないはず。家族のありようは多様なので、現実には無限のバリエーションがあります
(ありていに考えて「父親」が迎えに来る可能性は相当に高いし、例えば『メイドラゴン』のカンナちゃんだったりしたら現れる「小林さん」は「母親」ではない。 ←あくまで例えなので、カンナちゃんなら自分で怪獣と戦うだろうみたいなツッコミはナシでノ)。
なので、こういう場合には「保護者」を用いるべきというのは、脚本を執筆する担当者はきっちり把握しておくべきです。これは学校などでは随分昔から(私が小学生だった頃から)スタンダードになっているはずなのですが、どうも脚本家の間では周知徹底されておらないようで、「父兄」なんていうワードが聞こえてくることが他作品でもたまにあります。
ぃやコレが[コウセイくんは、子どもの保護者といえば「母親」に違いない! というステレオタイプの持ち主]というキャラ描写としてあえて入れられたセリフまわしなら、それはそれでアリかもですが、そういうことではないですよね?
https://note.com/tomorine3908_nt/n/nad990de87c6b



「ウルトラマンオメガ」
第2話:俺と宇宙人と学者さん
主人公チームのもう一人、イチドウアユムの合流回。
27歳の生物学者とのことで、その専門知識と行動力でソラトとコウセイに協力する立ち位置。2人からは「アユ姉」と呼ばれることに。
まずは、いまどきのウルトラマンシリーズに登場する女性キャラとしては好感が持てる設えでしょう。
必然的に、ソラトやコウセイと恋愛関係が生じるわけでもなさそうなニュアンスで描かれています。
女性キャラと男性キャラが出会えば恋愛ドラマが始まる! そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
むしろ、ソラトとコウセイのわちゃわちゃしたやりとりの数々が、なんかBLっぽい、と、知り合いのBL作家なぞが述べていたりさえします。
まぁ、「好きの多様性」に鑑みて、旧来の恋愛コードに囚われない関係性描写がスタンダードになっていくのは良いことでしょう。
そのあたり含めて、これからの主人公チームの活躍に期待しましょう。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n86a39d23a389



「ウルトラマンオメガ」
第3話:急な寒波に御用心
この暑い日々が続く只中に「暑すぎてヤバい!」と現実世界とリンクさせた昨年の「わんだふるぷりきゅあ!」第26話とは逆メソッドのサブタイトル。
いゃぁ怪獣に氷漬けにされるのは困りますが、こう毎日が猛暑だとちょっと寒波も恋しいですネぇ;
ともあれ主人公チームの結びつきも出来上がっていく第3話にして、コウセイくんにバンダイから新商品支給となるエピソードでした。
バンダイからの新商品といえば、本作に限らず(ウルトラマンシリーズのみならず戦隊や仮面ライダーなどでも)ず~っと前から感じてることなのですが、変身アイテムの玩具CMの撮影はかなり早い時期にあるのでしょうね。台本も決まり本編の撮影がスタートして役者さんの役作りも出来上がる、その前の段階なせいか、役者さんの表情などが本編とかなり違う。
本作で言えば、本編中での普段のソラトは記憶喪失の青年としてのトボけたキャラですが、オメガスラッガーCM中では、随分と精悍な顔つきになっています。おそらく役作りが出来上がる前の撮影なので、ヒーローに変身する男性キャラといえばこんな感じだろうという「いかにも」なステレオタイプに寄せるより他はないのでしょう。
こういうトコロに一種の因習的なジェンダーイメージが読み取れるというのは、オモシロイ現象だと思っています。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n1defea13c530



「ウルトラマンオメガ」
第4話:爪痕の謎を追え
「ウルトラマン」としてのノルマをクリアした脚本の中で上手いことソラトとコウセイが些細なことで口喧嘩~仲直りをするプロセスが描かれた回。
そして、そのへんの味わいが、やっぱりちょっとBLっぽい、と、知り合いのBL作家が引き続き主張しております。が、そういう意見、どうもネットを検索してもあまり出てきませんねぇ。視聴者層が重なってないのでしょうか。あえてもっと悪く言えば「分断されている」。だとしたら、根が深い問題となります。
一方、今回の怪獣「刃爪怪獣 テリジラス」。顔立ちや首の動きが、ちょっと「リトラ」っぽいと思えたのは、やっぱ意識的に似せてあるんでしょうかね? 先週の冷凍怪獣だった「ペグノス」にも「ペギラ」のオマージュ入ってますし。
まぁ『ウルトラQ』どストライク世代といえば、まさに現在の『オメガ』メインターゲット年代を孫に持つ層でもあるでしょう。ウルトラシリーズを親子三代で楽しめる工夫、悪いことではありません
(連綿と続くシリーズとしては、仮面ライダーやスーパー戦隊に先駆けて、まずはウルトラマンが三世代コンテンツ一番乗りですナ)。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n611be53a38b2



「ウルトラマンオメガ」
第5話:ミコとミコト
孤独な少女ミコと、「ミコト」こと伝説蛇獣オオヘビヌシノミコトの、密かな交流・友情、そして別れを描いた、切なく哀しい物語。
あるんですよね、ウルトラマンシリーズには、毎年こういう方向性のエモーショナルな回が。
しかし、怪獣の生態ゆえに、人間との共存は難しい、とはいえ、最後はああするしかなかったのでしょうか。オメガは公的組織の正義に則って戦うウルトラマンではない、だからこそ、余計に心に沁みる結末と言えましょう。まぁミコちゃんが少し前を向くことができたラストなのが救いですかね。
あと、こういうストーリーの中でも、誰が男で誰は女かというような各キャラの性別はあまりカンケイない、ジェンダーニュートラルな作劇なのは、非常に好感度が高い令和クォリティだと思います。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/nc23d3a9f1daf



「ウルトラマンオメガ」
第6話:怪獣の探しもの
今回の猛突怪獣ゲドラゴは繁殖期で雄も雌も本能的に地上に現れたとのこと。ま、繁殖期の本能ですから「異性愛」的な行動なのは納得してよいでしょう。
そしてそんな一方で人間たちのあれやこれやは、ずいぶんとジェンダーニュートラルです。各キャラの言動が男性だからとか女性だからとか、だからどうだというふうにはほとんどなっていない。
特にアユ姉の後輩として登場したゲストキャラのカミヤくん。極限までジェンダーバイアスが排されてます。そも「後輩」だし、ものすごく「頼りにならない」人物像だし、あまつさえ「俺は男だから、か弱い女であるアユムさんを守るぞ!」みたいなニュアンスは1ミリたりともない。
というわけで「ウルトラマンオメガ」、この先ジェンダー的な令和クォリティでも究極をめざしていってほしいと思います。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/ncf2a6c4f8cb7



「ウルトラマンオメガ」
第8話:霧降山の伝説
山道で迷って入り込んでしまう不思議な空間。いろいろと考察・妄想が捗る味わい深い描写でした。
それはさておき、冒頭の男女2人組のハイカー。恋人どうしなのか、はたまた「男女だけどただの友だち」なのかは定かではありませんが、ものすごく関係性がフラットでジェンダーニュートラルな雰囲気なのがヨカッタですね。
先日のアユ姉の後輩のカミヤくんもそうでしたが、男性のほうにも「俺は男だ!!」感が皆無。
男女2人の間柄が「然るべきキャラによる恋人関係」に固定され、因習的なジェンダー役割や異性愛規範に回収、しかして多様な「好き」のありようが排斥されてしまう世界観は、マジもう平成で延長サポート期限も切れていると言えますから、こういう傾向は大いに評価・歓迎したいです。
「ウルトラマンオメガ」は、このあたりの演出について、今後ともしっかりコントロールしてやっていくということでしょうか。なかなか信頼感が高まるところです
(…と思うのですが、もしかして、ああいう感じの男女の関係性、むしろ昨今の若い世代の間ではあくまでもフツーにすぎなかったり――なのでソレをそのまま描きこんでるだけだったり――する??)。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n709dd177e5f9



「ウルトラマンオメガ」
第10話:密着!2人の素顔
アユ姉の紹介でやってきた映像ジャーナリストのマキ姉(名刺では新川麻希となってます)。ソラトとコウセイのコンビに興味を持って密着取材をおこなうことに……というのが今回のお話。
それはそうと、こういう何でも撮影したがる突撃!記者魂!! なキャラ、そこに女性キャラを充てるのは、いつから不自然じゃなくなったんでしょうかね?
もちろん、そもそも『ウルトラQ』の江戸川由利子さんからしてそうだったと言えるので、ウルトラシリーズでは特記事項ではないっちゃーそうです。とはいえ世間一般では、もう少し受動的な「守られる女」が女性キャラの定番だった時代も長かった、それもまた一面の事実。
その意味では、こんな感じの人物像なら女性キャラに/こういう性格だから男性キャラで、というようなキャラ設計は、昨今は縮退しているし、特に「ウルトラマンオメガ」ではソコが顕著に伺える、そういう事例が続いています。
しかも、行動や位置付けの描写がジェンダーニュートラルになってはいても、キャラ自体が過剰に中性的になっていたりはせず、いわゆる女らしさ・男らしさ要素をキャラ本人が文化として主体的に選択して取り入れているというふうにはなっている。そのあたりも安心して見ていられる印象がします。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/nef6d82f5816a



「ウルトラマンオメガ」
第11話:グライム再び
コチラの作中ではオメガはまだ「正体不明」の巨人という扱いなので、助けられた体験がある人にとっての主観では[ヒーロー]であっても、人類としての公式見解ではウルトラマンを「怪獣」と弁別する基準はできていない、というような世界観が示されます。
そんなわけで、いつまでも「謎のウルトラマン」任せにはできないということで、怪獣災害専門の対策チームの計画が立ち上がります。
……ウルトラマンシリーズのよくある設定では、そういう怪獣防衛隊って、ウルトラマンと協力的な立ち位置であるというか、そもそもウルトラマンに変身する主人公がソコの隊員のひとりなのが定石だったりするものですが、オメガが完全にプライベートな存在として戦っている本作だと、そうした組織とは今後いろいろ軋轢が生じたりしそうで、ちょいと心配ですね。
おそらくは、そんな予想される展開も経た果てに、オメガの行動が人類に受容され、かくしてオメガがみんなに応援されるヒーローとしてのウルトラマンになっていくドラマツルギーが描かれていくのでしょうが、そがゆえにソコまでの具体的なストーリーには目が離せません。
加えて、そうした物語の中で並行して描かれていくであろうソラトとコウセイの関係性の進展。今回で少しギクシャクしてしまった2人がいかに恢復し、この先のさらなる親密度の深化がどのようになされていくのかは、刮目して見届けなければならないっ! …と、知り合いのBL作家が熱く訴えています。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n46ef7295f456



「ウルトラマンオメガ」
第12話:俺のやりたいこと
前回オメガが一旦敗北した引きからの続き。
端的に言って、地球人サイドの防衛チームも怪獣の弱点を解明して新たな作戦を実行、ソラトはコウセイを慮り、そしコウセイもまた自分を見つめ直してソラトとの関係を結び直す……となるわけではありますが、ソコにきちんとバンダイ販促ノルマ映像も差し挟みながら30分にまとめる脚本は、なかなか絶妙な手腕です。
今般のように、ウルトラマンがプライベートで戦っていると、そういう設定ならではのドラマツルギーも魅せられるメリットが大きい一方、今回など、地球人の防衛チームの作戦の詳細は知らないまま変身して登場することになるので、視聴者としては上手く連携が取れずに最悪オメガ(やコウセイが操るメテオカイジュウ)の行動が裏目に出ちゃうんじゃないかという不安も生じますが、そこらへんの展開についてもそうならないように上手く鬱展開は避けてくれました。
あとアユ姉の活躍も光る回でしたが、アユ姉のような若い研究者の描写が、本作はめっぽうリアルだなぁと感じます。ワタシも理系の方面の詳細には詳しくないですが、いまどきの大学院の現場などに鑑みると、アユ姉本人のキャラ付けも含め、アユ姉まわり各種の表現についてはかなり現実に近いという気がします。要するにステレオタイプな「想像上の科学者」描写に陥ってないあたり、取材がしっかりしている、その点でも本作は信頼が置ける、という。
そして、事態が無事に解決した後のソラトとコウセイのやり取り。コウセイも自身の目標を再確認できたうえで、ソラトとの関係性が捉え直せたわけですが、その際のセリフがやっぱり「愛の告白」だよなぁ……と、今週もまた、知り合いのBL作家が感嘆しておりました。なにより2人のわちゃわちゃした様子には萌えを禁じ得ないとも。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n59a2565a691d



「ウルトラマンオメガ」
第13話:アユ姉にバレちゃった!
ウルトラマンの戦いシーン的には今までの振り返りの総集編。話数カウントされない「特別総集編」とは別に、話数カウント内でもこういう回が例年ありますね。
でもソコに「アユ姉へのカミングアウト回」という要素を被せることで、視聴者をダレさせない緊張感のあるドラマに仕上がってました。
しかもアユ姉、明確に事実を告げられる前に(ピグモンの闖入という想定外事象もあって)コウセイの事情やソラトの正体についてのだいたいのことを察して腹に収めるという、なかなかエモいつくり。しこうして3人の信頼関係は深まることに。
で、つまるところアユ姉が一歩引いた立ち位置からソラトとコウセイを見守る役割になったわけですが、これはひとつには視聴者の視点の代表ということにもなりましょう。
そして、その立ち位置だと、ソラトとコウセイの親密度の深まりには干渉しない絶妙のポジションではないですか! …と、これまた今週も知り合いのBL作家がテンションを上げています。
ぃやぁ、ちょっとよくわからないんですけど、つまりアレですかね。「百合に混ぜても大丈夫な男」の逆バージョンってことですか?
(実際、アユ姉が帰ってから2人でわちゃっとするシーンが〆に挿まれていた)
いずれにしても「ウルトラマンオメガ」、メインキャラ3人の関係性については、いわゆる因習的な「男女」パターンとは本当に着実に距離を置いた設計になっていて、そのへんのジェンダーニュートラルぶりが光ってる加減は、あたかもウルトラの星ですワ。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/ndbc242d67f70



「ウルトラマンオメガ」
第14話:オメガ抹殺指令
物語の後半が今日から本格スタート(エンディング曲も新しくなりましたね)。
それに合わせて新キャラ・山本未來さん演じるウタサユキ博士も本格登場。
先日もアユ姉がらみで述べましたが、本作、こうした女性科学者の描写が非常にリアルです。マジ本当に大学の構内を歩いていそう。そのあたりの、想像上のステレオタイプな「女ハカセ」描写には陥ってない具合、取材がしっかりしてる感には、やはり信頼が置ける気しかしないですね。
ともあれ、お話は強敵も登場の新展開。引き続き注目です。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n233e818ac390



「ウルトラマンオメガ」
第15話:守る者たち
先週から続く強敵との戦い。そして敵に操られていたメテオカイジュウのヴァルジェネスをみんなの一致協力で取り戻し、見事にクリスマス商戦も控えたバンダイの新商品が爆誕する(!?)回。
ただ、「ウルトラマンオメガ」はソラトやコウセイが完全に民間人の立場で戦っているのが特徴的であり作劇的にもオモシロイ良い点だったのですが、今回のラストでサユキ先生から、新たに創設された怪獣対策特殊部隊である「怪獣特別対策隊」への参画を提案されたのはどうなんでしょう??
いちおうは本体から独立した特務班という位置付けにはなるみたいですが、ここまでの個性的な物語が変質する危惧も拭いきれません。とりあえず来週以降の展開を見守りたいです。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/nbc9e77d2576b



「ウルトラマンオメガ」
第22話:星を見つめる人
ソラトをめぐる真実、オメガについての真相が詳らかになってきました。宇宙観測隊として地球を見守り記録するのが使命だったとしたら、たしかにオメガが人類を守って怪獣と戦うようになったのはイレギュラーな事態なんですね。
それでもだからこそ、そこにはソラトとコウセイたちが出逢った意味があるはず。そのあたりのドラマツルギーが今後とも展開の鍵でしょう。
そして、この先も人類と怪獣のコンフリクトが避けられない中で、どのような解決を探るのか、となると、どうも劇中で語られていた、何やらスゴイ新兵器の開発、これはむしろ不穏要素となってきます。
さて、どう決着していくのでしょう?
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n57921bc34db7



「ウルトラマンオメガ」
第23話:宇宙観測隊
記憶喪失ソラトと本来のソラトの対峙がなかなか迫真の絵面です。かくして、あくまでも観測・記録が本務だと思い出したオメガは、「ウルトラマン」としての行動をやめてしまうのでした。
てことで、年明けからのクライマックス展開が見逃せない状況ですが、さりとてここまでの経緯に鑑みると、これまでに紡がれてきた記憶喪失ソラトとコウセイたちとの絆こそが、「ウルトラマン」としてのオメガが戻ってくる鍵にはなるのでしょう。知り合いのBL作家氏もソコが注目だと宣っております。

◎熊と怪獣
ところで、ウルトラマンシリーズここ数作での怪獣は、なにがしかのヴィランが悪魔的なエネルギーで練成したモンスター(という設定の作品もありますが)ではなく、元から地球に住んでる野生の生き物的な設定となっています、基本的に。で、怪獣たちはなにぶんにもデカかったりするので、その生態や存在自体が人類社会とコンフリクトを起こしてしまうという、いわば「悪」ではないんだけど、ある種の災害とだという位置づけなわけです。
ですから、なんというか、最近の現実世界で俎上に上っている「熊」の問題などと、そこはかとなく連関しちゃっているのですね。
ぃや、制作側も、今年ここまで「熊」が話題になるとは思ってなかったのでしょうが、こうなると、今後のウルトラマンシリーズ、「怪獣」の意味付けにおいて、このあたりを念頭に置くことも必要になってくるでしょうね。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n5265ebd3da25



「ウルトラマンオメガ」
特別総集編3:アカジナリアキの希望
昨今のウルトラマンシリーズ、毎年新作放映期間中に3回ほど本編話数カウント外の[特別総集編]が入るのが通例なのですが、特別総集編のためだけの登場人物を設定して、その視点で物語を再構成することで、視聴者を飽きさせない工夫がされています。
特に今年の「オメガ」におけるアカジナリアキ氏はイイ味を出しているうえに、その視点でのドラマが、本編の補完にもなっていたのは上手いと思いました。
というわけで、ウルトラマンが人類を守って戦う意味という、ある種のシリーズの原点にも迫るらしいこの先の展開、来年の放送を正座して待ちましょう。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n33e57315cec8



「ウルトラマンオメガ」
第24話:最後の力
ついにクライマックス突入の最凶怪獣出現回。
前回までの経緯で、もはやオメガは「ウルトラマン」として人類を助けてくれない中で、さてどうする!? というまさに正念場の展開です。

◎ミリタリーよりアカデミック
そんな状況下ですが、しかしなんとか怪獣の弱点を探ろうとする怪特隊の活動は、怪獣からの放出物などを採取して細胞を分析する……などと、妙にアカデミックなニュアンスに振れているのって、やはり本作の特徴ですね。例えるなら「これ『科捜研の女』で見たノ」みたいな感じのシーン。
方向性としてもっとミリタリーなテイストに仕上げる選択も採れるはずなのですが、あえてそうしないことで、不必要に「男臭く」なること等々を避ける企図を達成しているのだとしたら、それはなかなか秀逸な作劇だと言うべきでしょう。

◎愛の告白ここにも
そんな中、粛々と宇宙観測隊の任務に従って行動しているソラトを、広場で見つけたコウセイ、今一度の助力を嘆願します。が、どうしても翻意は拒むソラト。そこで最後にコウセイは2人が出会ったときに感じた気持ちなどを語り始めます。
「あのとき………嬉しかったんだ」
……あ゛、コレ、「愛の告白」だノ
(ココでももはや同性2人の深い関係性が臆せず提示されるわけですナ)
そしてそれを聞くソラト(本人曰く「俺はソラトではなくオメガだ」)、複雑な心境を滲ませます。記憶が戻っても記憶喪失中のことを覚えていないわけではないようです。このときのソラト役・近藤頌利さんの表情の演技がまた絶妙です。さて、どうなる!?

◎優しい世界をひろげよう
一方、表情の演技といえばコレだけではないです。
怪獣の上陸で、人々は避難を強いられるわけですが、第1話でコウセイの世話になりウルトラマンオメガに助けられたあの親子、今回は避難途上で辛そうにしている老人を慮って声をかけています。
助けられた経験を持つ人が今度は誰かを助ける側に回る。そうやって親切が連鎖していく優しい世界――。
もしも本当に宇宙から地球を観察している存在がいるとしたら、「地球人ってヤバいから宇宙の平和のためには滅ぼした方が良い」、そんなジャッジを受けることにつながりそうな事案も日々報道されてくる昨今(に限らない)ですが、いゃぃや、人類、まだまだ捨てたもんじゃないですゼ! そんなことも考えさせる描写、平和憲法の国で制作されているヒーロー譚としてマジ意義あります。
そして、その様子を見ていたソラト(本人曰く「俺はソラトではなくオメガだ」)、やはり何か思うところがあるような顔を見せているのですが、その気配に気付いた親子のうちの女の子を演じている子役の表情の演技がまたもやなかなかイイ味が出ています。将来は大物女優として大成する可能性も秘めていますが、助けられた経験の連鎖というのをメタ的に言えば、この子、10年後くらいにはプリキュア(役の声優)になってたりするんじゃないですかね。
ともあれ素材は出尽くしました。来週の最終回を刮目して見届けましょう。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/nc4aea9b60e06



「ウルトラマンオメガ」
第25話:重なる未来
いよいよ最終回。「オメガ」の「ウルトラマン」としての戦いもついに決着です。
ぃや~、半年間、良いものを見せてもらえました。

◎バロム1? むしろビビッドレッドオペレーション!?
自らの可能な手段を振り絞って怪獣災害に立ち向かう人類。そんな中でも必死に奮闘するコウセイ。その様子を見てオメガが「ソラト」として過ごした日々の意味を思い返し、あらためて「守りたい」という気持ちに至る。……まさに王道展開。清く正しいニッポンのヒーロー物語です。
特に、ソラトとコウセイという「民間人」2人の関係性を軸に、全編の物語を描ききったのは、令和のウルトラマンとしても新機軸な表現で意義があったのではないでしょうか。知り合いのBL作家氏も大満足です。

◎深夜アニメならどっかの大統領が核ミサイル撃ってた
ということで以下は「余談」。世界各地で怪獣が覚醒となると、それぞれ現地でも対応が取られているはずですよね。そのへんの様子は描かれませんでしたが、おそらくソコにはお国柄の違いがあらわれるはずです。
となると、世界には「我が国には超兵器R1号があるんだぞぉ!」とばかりに国連安全保障理事会を牛耳っている国がいくつかある(!?)現状では、実際にヤバい兵器が怪獣対策に投入される可能性もありそうです。特にあの大統領とか、そっちのエラい人とかも、ちょっと心配を禁じ得ません。事後における世界戦略で自国の存在を有利に置こうという思惑なんかも絡むことでしょう。
むしろ本当に怪獣が現れたときに厄介なのは、そういう事象。それではたとえ怪獣は退けたとしても、真の意味で全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れて平和のうちに生存することとは真逆でしょう。人類はいったいいつになったら血を吐きながら続ける悲しいマラソンをやめるのでしょうか。
その意味では本作ラスト。怪獣との共生をめざしていく。人命を守る際にはやむを得ないが、武器の使用は最小限。そういう落とし所に決着したのは、まさに平和憲法の国で制作されるヒーロー譚の面目躍如です。怪特隊の活動をアカデミックなテイストに寄せて描き続けてきたのもここで活きてきてるでしょう。昨秋に世間を騒がせた「熊」問題という現実とも、上手いこと繋がった形です。
こうした物語を世界中へ向けて提示することは(本作は本当に多国語字幕でネット配信もされている)、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持すると決意したこの国が国際社会の中で名誉ある地位を占めることに、大きく寄与しているに間違いありません。

◎東洋の神秘「四神」の継承
あと、作中でウルトラマンオメガをアシストする役回りで登場したメテオカイジュウたち。
本編に出てきた3体の他にも、もうひとつ存在(して、バンダイからすでに玩具も発売済み、来週からの次の新作ウルトラマンとの間に放送される過去作活用番組に登場・活躍)するようです。
名前は「ガメドン」。ということでその名のとおり、なんか亀っぽいモチーフの奴です。
で、ここで思い至りました(不覚にもココまで気付けませんでした。痛恨;)。
つまりコレ、全4体のメテオカイジュウって、四神(四聖獣)、すなわち青龍、朱雀、白虎、玄武に対応してるんやん!
四神の概念は、方角や季節、四元素とも関連付けられていて、東洋的な世界観にとって大切なものです。各種のポピュラーカルチャー等々にも頻繁に取り入れられたりしてますから、一般教養としての重要度も高い。
そうした要素もさりげなく織り込んでいた「ウルトラマンオメガ」。なかなかの教育番組ぢゃないッスか! こういう点も番組のクォリティを底上げしていると評価していいのではないでしょうか。
https://note.com/tomorine3908_nt/n/n8d8e8a6c5db9



 [20260118]週刊アニメ考察アーカイブ用b.jpg


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